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~訴訟活動のターゲットは裁判官である
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本日、元裁判官で現在弁護士をされている方の講演を聞く機会がありました。
私は、常に初心を忘れずにいたいと考えているため、定期的にこのような講演に足を運んでいます。
今回、今後の訴訟追行にあたって、参考となる話を聞くことができましたので、少しだけ紹介したいと思います。
1.良い代理人(弁護士)とは
裁判官から見た「良い代理人(弁護士)」はどの
ような方だと思いますか?
その方がおっしゃるには、「信頼できる代理人」とのことでした。
「信頼できる代理人」と言うと、誠実な人柄の弁護士を指すと想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、
そうではなく、事件に対する姿勢が重要とのことでした。
これは、裁判官が最も関心を持っていることの一つだそうです。
例えば、裁判官から代理人の名前の読み方を尋ねられたときに、答えられないようなことがあると、
途端に信頼を失うようです。
代理人である弁護士が、当事者についてどれだけ情報を把握しているかは、その判断要素となるようです。
また、「当事者と一体となっている代理人」は、信頼できないとのことでした。
ご依頼者の皆様はどのように考えますか。
ご依頼者の皆様からすれば、自分の言うことを全て裁判所に伝えてくれる弁護士は、
良い弁護士であると思うかもしれません。
ただ、訴訟に勝つためには、それではダメであるとのことです。
弁護士が当事者の話を聞いて、自己のフィルターを通じて表現してこそ、信頼性が出てくるとのことでした。
ご依頼者の皆様には、裁判官に伝えたいことが色々とあるかと思いますが、
訴訟に勝つためには専門の弁護士にお任せ頂ければと思います。
2.良い準備書面とは
民事訴訟において、裁判所に提出する主張書面を、準備書面と言います。
準備書面によって、
これまでどのような事実があったのか、どのような法的主張を行うのか等を明らかにし、
裁判官を説得するので、民事訴訟において主要な役割を担います。
その準備書面において、
「良い準備書面」は、元裁判官の方がおっしゃるには、判決にそのまま伝える内容で、シンプルなものが良いとのことでした。
これは、皆様にとって意外に思われるのではないでしょうか。
10頁の準備書面と、50頁の準備書面があった場合、後者の方が説得力があって良いと思われるのではないでしょうか。
講演された裁判官が言うには、50頁以上の準備書面は、熟読できないとのことでした。
裁判官も大量の事件を抱えており持ち時間が限られていますし、そもそも長文の文章を集中力をもって読むことは不可能とのことでした。
裁判官が文章の分量で結論を決めることは、100パーセントないとのことでした。
書面が長くなる理由は、①コピーアンドペースト、②整理不十分、③主張が筋が悪い、④ご依頼者のガス抜きが考えられるところ、どれもマイナスに働くようです(④に関しては許す余地があるが、読まないとのことでした)。
長々と繰り返し同じことを主張した方がより説得力が出ると思う方もいらっしゃるかと思いますが、
残念ながら、少なくとも裁判官には通じないようです。
3.どのように事実認定をするか
裁判官が事実を認定するときは、「合理性」や「自然さ」を重視するとのことです。
訴訟になっている以上、どちらの当事者の言い分にも、おかしなところが必ずあるのであって、
それを自然さをもって説明できた方が勝つとのことでした。
この点は、これまで無意識にこなしていましたが、改めて意識的に取り組みたいと思いました。
少し本題とは逸れますが、
上記は、実際に不自然なことが起こった場合でも、
それを証明する方法がない場合、そのようなことが起こるはずはないとして、認められないことを意味します。
裁判官も神様ではないので、このことはやむを得ないでしょうか。
4.まとめ
以上、ほんの少しだけ紹介しましたが、他にも色々と参考になる話を伺えました。
これらを今後の弁護士業務に活かして、
ご依頼者の皆様に、より良いサービスを提供できるよう日々努力していきたいと思います!