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孫子の兵法から考える交渉術

「兵とは詭道なり。故に、能なるもこれを不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、努にしてこれを撓し、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。其の無備を攻め、其の不意に出ず。」(岩波文庫「新訂 孫子」より)

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「孫子の兵法」はご存じですか。名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは、今から約2500年前の中国の春秋時代の軍事思想家である孫武(※諸説あります。)が記したとされている兵法書です。
あくまで戦における書物ではありますが、現代においても様々な領域で基本的な思想として取り上げられておりますので、交渉や裁判においても、十分に参考となるものと考えます。
そこで、これから何回にわけて、「孫子の兵法」が交渉において、どのような指針となるかを解説したいと思います。

さて、冒頭の「兵とは詭道なり」という一文ですが、これは「戦争とはあざむくこと、普通とは異なったやり方をすること」というような意味です。
「そんなの卑怯じゃないか!」とお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、正々堂々と正面から突っ込んでばかりいたら、戦に勝つことなんて出来ません。
なので、仮に強い状況にあったとしても弱くみせかけ、勇敢であっても臆病に見せかけること等が必要となってくるのです。
また、敵が利益を求めているときはそれによって誘いだし、敵が強いときは避けること等も必要であり、これらによって、敵の無備を攻め、敵の不意を突くことが必要とされています。
真っ向勝負だけではいけないようです。

交渉でも同様です。
単に、こちらの要望をそのまま伝えたり、相手の言うことを額面どおり受け取ったりしていては、良い結果を得ることはできないでしょう。
法的な紛争が生じた場合、時には相手の言動に激しい怒りを感じることもあるかもしれません。そのような場合に、怒りにまかせて相手と交渉しては、相手の思うつぼであり、冷静な判断ができず、結果的に損をしてしまいかねません。相手の言動に怒りを感じるときであっても、平然とした態度を示すことが必要なのではないでしょうか。
また、弱い立場にあるときも同様です。いくら弱い立場にあったとしても、それをそのまま相手に示すのではなく、こじつけでも何でも良いので、姿勢だけは戦う意思があることを示すべきであると考えます。
このように、内心はともかくとして、どのように見せるかが重要となってきます。
これが、戦争の基本であると、孫子の兵法は述べています。
是非ご参考ください。

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